管理人がある日突然、乳がん宣告受けました。
でも、笑って治すわよ!!
かつて、不思議な体験をしたことがある。といっても、そんなに神がかったオカルトめいた話ではなく、それを普通だと思えば何にも気にすることはない出来事なんだけど。
まだ結婚して間もない頃、当時住んでいたアパートの近くを自転車で主人と走っていた。そこは土手道で狭くて、それでもソフトや野球の試合に来るお父さんたちの車が結構走っている。
どのくらい走っただろうか、前方をふと見れば、見たくないものが道の真ん中でうずくまっている。一目で「猫」だとわかった。
もう息をしていないと思った。だから申し訳ないけれど、目を横にそらしてその場を通り過ぎた。
けれど。
何かに引き寄せられるように、まるで自分の意思などお構い無しのように、私の視線は後方の猫に向けられた。見ようと思ってみたわけではない。
猫は、むく、と顔をあげた。そして振り向いた私の目線と丁度合ったのだ。
タスケテ
私にはそう言っているように見えた。
そして猫は無事一命を取り留めた。
お向かえのベル(雑種犬。メス)が、静かに息を引き取った。
17年の寿命をまっとうして、昨日、大好きなおばちゃんの待つ天国へと旅立った。
賢い犬だった。家の近所の住人の顔を覚えていて、知らない人が来ると吠えて威嚇した。番犬には丁度良い犬だった。
ベルに異変を感じたのは、私だけではなかった。年末から始まった悲しそうな鳴き声。それも昼夜問わず。今から思えば、きっと不調を訴えていたんだろう。
昨日、家を出るとき、いつもの雰囲気とは違う感覚を覚えた。あの猫の時と全く同じだ。
「ベル?どうした?」
鍵を閉めながらも目線はベルの小屋。
ベルはぐったりとして動かない。だが、それでも最後の力をふりしぼるように息をしていた。
近所のオバちゃんと協力して、タオルやら枕をあてがった。生憎、飼い主は仕事で外出中。差し出がましいこととは思ったが、背に腹は変えられない。
声にならない鳴き声で、ベルは私をよんだのか、と思ったら泣きそうになった。
この世の別れに、あの場で生まれた空気が、私を呼んだのかもしれない。
昼に様子を見たときは、微かに息があった。けれど、夕方には、もう冷たくなっていた。
愚息と娘を呼び、ベルの体を触らせた。
死ぬとはこういうことなのだ、と感じてもらいたかった。
17年、精一杯生きた。ベルがこの家に来たいきさつを、亡くなったおばちゃんは嬉しそうによく私に話してくれた。
ベル、あんたは皆から愛されてたね。
仕事から帰って、あんたのぽわわ~んとした瞳を見て、どれだけ心が癒されたことか。
今頃は、おばちゃんとあの世でお散歩してる頃だよね。
おばちゃんもきっと足は治ってるだろうから、ふたりで精一杯走り回って遊ぶといいよ。
あんたがいなくなって、すごく寂しいけれど…
じゃあね、ベル。
バイバイ、ベル。
まだ結婚して間もない頃、当時住んでいたアパートの近くを自転車で主人と走っていた。そこは土手道で狭くて、それでもソフトや野球の試合に来るお父さんたちの車が結構走っている。
どのくらい走っただろうか、前方をふと見れば、見たくないものが道の真ん中でうずくまっている。一目で「猫」だとわかった。
もう息をしていないと思った。だから申し訳ないけれど、目を横にそらしてその場を通り過ぎた。
けれど。
何かに引き寄せられるように、まるで自分の意思などお構い無しのように、私の視線は後方の猫に向けられた。見ようと思ってみたわけではない。
猫は、むく、と顔をあげた。そして振り向いた私の目線と丁度合ったのだ。
タスケテ
私にはそう言っているように見えた。
そして猫は無事一命を取り留めた。
お向かえのベル(雑種犬。メス)が、静かに息を引き取った。
17年の寿命をまっとうして、昨日、大好きなおばちゃんの待つ天国へと旅立った。
賢い犬だった。家の近所の住人の顔を覚えていて、知らない人が来ると吠えて威嚇した。番犬には丁度良い犬だった。
ベルに異変を感じたのは、私だけではなかった。年末から始まった悲しそうな鳴き声。それも昼夜問わず。今から思えば、きっと不調を訴えていたんだろう。
昨日、家を出るとき、いつもの雰囲気とは違う感覚を覚えた。あの猫の時と全く同じだ。
「ベル?どうした?」
鍵を閉めながらも目線はベルの小屋。
ベルはぐったりとして動かない。だが、それでも最後の力をふりしぼるように息をしていた。
近所のオバちゃんと協力して、タオルやら枕をあてがった。生憎、飼い主は仕事で外出中。差し出がましいこととは思ったが、背に腹は変えられない。
声にならない鳴き声で、ベルは私をよんだのか、と思ったら泣きそうになった。
この世の別れに、あの場で生まれた空気が、私を呼んだのかもしれない。
昼に様子を見たときは、微かに息があった。けれど、夕方には、もう冷たくなっていた。
愚息と娘を呼び、ベルの体を触らせた。
死ぬとはこういうことなのだ、と感じてもらいたかった。
17年、精一杯生きた。ベルがこの家に来たいきさつを、亡くなったおばちゃんは嬉しそうによく私に話してくれた。
ベル、あんたは皆から愛されてたね。
仕事から帰って、あんたのぽわわ~んとした瞳を見て、どれだけ心が癒されたことか。
今頃は、おばちゃんとあの世でお散歩してる頃だよね。
おばちゃんもきっと足は治ってるだろうから、ふたりで精一杯走り回って遊ぶといいよ。
あんたがいなくなって、すごく寂しいけれど…
じゃあね、ベル。
バイバイ、ベル。
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